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Column

2019/12/02

ケアマネ事業所における「管理者要件厳格化」の決定内容、及び議論の流れを確認しておきましょう。

「居宅介護支援事業所の管理者要件の見直し」実効期限が明らかに

2019年12月上旬~中旬頃に上梓される「介護保険制度の見直しに関する意見」の最終とりまとめに向け、一気に議論が加速した感を覚えた2019年11月。そんな中、前回の法改正時に「人材確保の状況について検証するべき」という名目で積み残された課題「居宅介護支援事業所の管理者要件の見直し(=居宅介護支援事業所における人材育成の取組を推進するため、主任介護支援専門員であることを管理者の要件とする)」について、当初予定されていた実効開始タイミング(当初の予定では2021年4月~)の延長案が示されました(恐らく年内中に正式決定となる見通し)。今回のコラムではその案の中身についてあらためて確認すると共に、その理由・背景についても解説してまいります。
「居宅介護支援事業所の管理者要件厳格化のタイムリミット」決定内容とその理由・背景とは
では、早速、案の中身を確認してまいりましょう。2019年11月15日開催に開催された「第172回介護給付費分科会」の中では同テーマについて、以下のような整理が為されておりました。

【居宅介護支援の管理者要件に係る経過措置に関する対応案】

●令和元年度の「居宅介護支援及び介護予防支援における平成30年度介護報酬改定の影響に関する調査「管理者要件に関する調査」」の結果を踏まえ、令和3年(=2021年)3月31日時点で主任ケアマネジャーでない者が管理者の事業所は、当該管理者が管理者である限り、管理者が主任ケアマネジャーとする要件の適用を令和9年(=2027年)3月31日まで猶予することとしてはどうか。
結果として、令和3年4月1日以降に新たに管理者となる者は、いずれの事業所であっても主任ケアマネジャーであることが求められることとなる。
●ただし、特別地域居宅介護支援加算又は中山間地域等における小規模事業所加算を取得している事業所については、管理者を主任ケアマネジャーとしない取扱いも可能としてはどうか。
●また、令和3年(=2021年)4月1日以降、不測の事態により、主任ケアマネジャーを管理者とできなくなってしまった事業所については、当該事業所がその理由と「改善計画書」(仮称)を保険者に届出た場合は、管理者が主任ケアマネジャーとする要件の適用を1年間猶予することとしてはどうか。
「令和3年(=2021年)3月31日時点で主任ケアマネジャーでない者が管理者を担っている事業所に限る」という条件は付いているものの、現時点において居宅介護支援事業所を運営している事業者全員が当てはまる訳ですから、単純に「当初の設定(=令和3年(=2021年)3月31日まで)が6年間、後ろ倒しされることになる」と理解して差し支えないものと思われます。
加えて、その背景・理由についても見ておきたいと思います。大きくは2点のポイントにしぼられるのではないでしょうか。

【延長理由その1】

そもそも、主任介護支援専門員研修の資格取得要件を満たすことが難しいケアマネ事業所が相当数存在しているため。
平成30年度に行われた「居宅介護支援及び介護予防支援における平成30年度介護報酬改定の影響に関する調査研究事業」によると、令和元年7月末日現時点において主任介護支援専門員ではない管理者のうち、「経歴4年未満」の管理者は10.1%、加えて「経歴1年未満」の管理者も1.6%存在することが分かっています(下表参照)。

そもそも主任介護支援専門員の資格取得要件の1つとして「専任の介護支援専門員として従事した期間が通算して5年(60ヶ月)以上」が定められている以上、その要件を満たすことが「物理的に不可能」な事業所が存在するなかで管理者要件の厳格化を行われるとするならば、それは確かに「横暴」「非現実的」な判断だ、と言う批判が起こるのももっともな話です(無理矢理でもケアマネ事業所数を淘汰させたい、というのなら話は別かもしれませんが)。また、前述の状況を勘案したからこそ「6年の延長(=ケアマネ実務経験5年+研修受講のための1年)」という判断には納得感を覚える次第です。
他方、主任介護支援専門員研修の資格取得要件を満たしているにも関わらず、「経過措置期間中に修了できる見込みがない」という方の割合が13.4%も存在している、というデータも前述の調査事業報告書には掲げられています(下表)。「見込みがない」理由が本人の意欲というのであれば考慮の余地はありませんが、仮に業務過多等がその理由として挙げられるのであれば、その点も同時に改善を進める必要があるのではないでしょうか。

続いて、2つ目の理由を見てまいりましょう。

【延長理由その2】

主任介護支援専門員研修について、資格取得のための研修受講費、及び更新のための研修受講費のバラつきが都道府県で大きいため。
2017年度の実績をみると、主任ケアマネ研修で最も高かったのは広島県の6万2000円。次は大阪府と和歌山県で6万円、岐阜県が5万8000円と続く一方、逆に安い順でみると、秋田県が2万996円、福島県が2万3000円、島根県が2万4320円、という状況にあります(厚生労働省老健局振興課調べ)。同時に、主任ケアマネの更新研修受講費のバラつきも問題となっており、最高は愛知県の5万2000円で、続いて山口県の5万円、青森県、埼玉県、愛媛県の4万6000円。一方、最安は栃木県の1万円、続いて岩手県の1万5900円、3位は福島県の2万円、となっています。地域医療介護総合確保基金の活用の有無等が背景にあると思われますが、いずれにせよ、上記状況の中で「管理者を主任ケアマネに限る」と厳格化を実効させるのは不適切、と言わざるを得ないのではないでしょうか。

早め早めの時間調整・スケジューリングを

以上、介護給付費分科会資料より抜粋しながら「ケアマネ事業所の管理者要件の厳格化」の状況について確認してまいりました。猶予期間が延びた、ということでホッと胸を撫で下ろしている方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、とはいえ、日常業務に奔走しているとあっという間に時間が過ぎ去ってしまい、「気が付けば研修申込期限が過ぎてしまった(あるいは定員に達してしまった)」などというケースが発生することも十分に考えられます。該当の皆さまとしては自身の研修受講要件が満たされるのはいつなのかをしっかり確認しつつ、早め早めに時間調整・スケジューリングを行っておくことをお勧めする次第です。

私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。

 
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

※上記内容の参照先URLはこちら

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07850.html

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