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社労士コラム

Column

2020/12/01

11月に開催された“介護給付費分科会”のポイントを理解しておきましょう

2021年度法改正・報酬改定に向け、各サービスの具体的な論点が明確に

2021年度介護保険法改正・報酬改定の議論が現在進行形で行われている“介護給付費分科会”。2020年11月に入り、いよいよ、各サービスの具体的な改正論点が明確になってきています。現状の情報を早めにインプットし、(心構えも含めた)然るべき準備を行っていくために、今回のコラムでは、多くの介護事業者が関わられているであろう「居宅介護支援・介護予防支援」について、代表的な論点をピックアップ・確認していきたいと思います。
2020年11月開催の「介護給付費分科会」で示された論点(抜粋)とは
では、早速、中身を確認してまいりましょう。まずは、質の高いケアマネジメントについてです。

【論点】

■ 居宅介護支援事業所は、介護事業経営実態調査における収支差が一貫してマイナスであり、直近の令和元年度の収支差は▲1.6%(対前年度比▲1.5%)。
■ こうした中、質の高いケアマネジメントを提供できる居宅介護支援事業所として、人員配置を手厚くした上で、24時間の連絡体制や困難事例等の積極的な受入れとともに、研修や事例検討会等の計画的な開催など、地域における他の事業所の質も向上させるような体制や取組も実施していることを評価した「特定事業所加算」を取得した事業所の収支差を見ると、加算(Ⅰ)(算定率1.05%)が+4.2%、加算(Ⅱ)(算定率17.43%)が+0.8%、加算(Ⅲ)(算定率10.69%)が▲0.2%となるなど、全体平均よりは収支状況がよい傾向にある。
■ 居宅介護支援事業所の経営の安定を図るとともに、質の高いケアマネジメントを一層推進させていく観点から、どのような対応が考えられるか。
■ 居宅介護支援事業所の公正中立性の確保や、資質向上、業務負担軽減等については、これまで事業所内における取組や研修体系の見直し等を進めてきたが、今後、どのような対応が考えられるか。

【対応案】
■ 特定事業所加算については、質の高いケアマネジメントの推進を図る等の観点から、拡充を含めた必要な対応(※)を検討してはどうか。一方、小規模事業所の中には、職員の配置要件などに関し、要件を満たすことができない事業所もあり、そうした場合であっても、事業所間の連携を推進することにより、質の高いケアマネジメントを実現できると考えられる場合については一定の評価を行うため、事業所間連携を促進する加算区分を設定することも検討してはどうか。(※見直しイメージについて、下図参照)

なお、(介護予防)(看護)小規模多機能型居宅介護事業所連携加算について、算定率が低調であることや、報酬体系の簡素化の観点から廃止してはどうか。
※「多様な主体等が提供する生活支援のサービス(インフォーマルサービス含む)が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していること」の加算要件への追加を含む対応
■ さらに、現行の加算(Ⅳ)の算定要件については、加算(Ⅰ)〜(Ⅲ)と評価軸が異なることや、医療と介護の連携を推進する観点から、加算の名称について、算定要件に沿った名称として、例えば、「医療介護連携体制強化加算【仮称】」と見直してはどうか。
■ また、居宅介護支援事業所の公正中立なケアマネジメントのための取組みの一環として、運営基準に
① 当該事業所のケアプラン総数に利用を位置付けた各サービスの利用割合(訪問介護、通所介護、福祉用具貸与、地域密着型通所介護)
② 前6月間に作成したケアプランに位置付けた訪問介護、通所介護、福祉用具貸与、地域密着型通所介護の提供回数のうち、同一事業者によって提供されたものの割合について、利用者へ説明することを明示し、その内容を介護情報公表システムの運営情報に掲載することとしてはどうか。
■ なお、「適切なケアマネジメント手法」等については資質向上や業務効率化等を図る方策も含め、引き続き調査研究を進めることにしてはどうか
※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

次に、逓減制についてです。

【論点】

■ 居宅介護支援費については、平成18年度介護報酬改定において、適切なケアマネジメントを行うために、業務に要する手間・コストの適正な反映、サービスの質の向上等の観点から、介護支援専門員(常勤換算)1人当たり40件を超えた場合、60件を超えた場合にそれぞれ逓減制の仕組みが設けられたところ。一方、居宅介護支援事業所は、介護事業経営実態調査における収支差が近年一貫してマイナスであり、直近の令和元年度の収支差も▲1.6%(対前年度比▲1.5%)となっている。
■ 引き続き適切なケアマネジメントの実施を確保しつつ、居宅介護支援事業所の厳しい経営状況等も踏まえた収支改善を図る観点から、どのような対応が考えられるか。この際、近年の技術進歩等により、ICT機器を導入したり、事務職員を配置している事業所では、それ以外の事業所よりも一人当たり利用者数が多く、かつ、労働投入時間が短い点などを考慮することができないか。

【対応案】
■ ICTの活用を図っている事業所の方が、研修の受講時間やケアマネ業務以外の認定調査の委託業務に携わっている時間が長いにも関わらず、介護支援専門員1人当たり1か月間の労働投入時間が短いこと、更に平均取扱件数が多い。また、事務職員の配置を行っている事業所についても、同様に労働投入時間が短く、かつ、平均取扱件数が多い。以上を踏まえ、一定のICT活用(注)、又は、事務職員の配置を図っている事業所については、ケアマネジメントの質を確保し介護支援専門員の負担に留意しながら、その取扱件数を増加させることが可能と考えられることから、逓減制の適用を45件からとすることとしてはどうか。
(注)ICT活用:・事業所内外や利用者の情報を共有できるチャット機能のアプリを備えたスマホ
・訪問記録を随時記載できる機能のソフトを組み込んだタブレット 等
※ なお、上記取扱いに伴い、ケアマネジメントの質が確保されていること等に関する効果検証を行うとともに、論点①対応案4つ目の■(P7)の検討と併せ、より適切なケアマネジメント手法の実効が担保されるような方策等に関して検討を行うこととしてはどうか。
※ 逓減制の適用を45件からとした場合には、特定事業所加算の要件(10)の介護支援専門員1人当たりの受け入れ可能な利用者数についても合わせて見直しを検討してはどうか。
■ また、これらの取扱いの際の逓減制の逓減率については、メリハリのついた取扱いとすべきではないか。(※見直しイメージについて、次頁参照)
■ なお、居宅介護支援費(Ⅰ)の適用上限を超える場合について、現在、事業所が自然災害や感染症等による突発的な対応で利用者を受け入れた場合は、例外的に件数に含めないこととしているが、地域の実情を踏まえ、以下の場合についても例外的な取扱いにすることを検討してはどうか。
・ 事業所がその周辺の中山間地域等の事業所の存在状況からやむを得ず利用者を受け入れた場合

※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

次に、通院時の情報連携についてです。

【論点】

■ 居宅介護支援においては、入退院時に係る医療機関との連携を報酬上評価しているが、通院時に同行して医療との連携を図る例があることも踏まえ、医療と介護の連携を強化する観点から、どのような対応が考えられるか。

【対応案】
■ 医療と介護の連携を強化し、適切なケアマネジメントや質の向上を進める観点から、介護支援専門員と医療機関の通院時に係る情報連携について、要件を明確化した上で、報酬上評価を行うことにしてはどうか。

※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

次に、看取り期におけるサービス利用前の相談・調整等に係る評価の在り方についてです。

【論点】

■ ケアマネジメントについて、退院時等に必要なケアマネジメントの対応を行ったが、サービス利用につながらなかった場合には、居宅介護支援費が算定されない。ケアマネジャーがその役割を効果的に果たしながら質の高いケアマネジメントを実現できる環境整備を進める観点から、どのような対応が考えられるか。

【対応案】
■ 介護保険サービス利用を前提とした退院に係る相談・調整について、看取り期における医療・介護連携を適切に進める観点から、利用者の死亡によりサービス利用につながらなかった場合等に限り、モニタリングやサービス担当者会議における検討等の必要なケアマネジメント業務や給付管理のための準備が行われ、介護保険サービスが提供されたものと同等に取り扱うことができるケースについては、基本報酬の請求を可能とすることにしてはどうか。
※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

次に、介護予防支援についてです。

【論点】

■ 介護予防ケアプランの作成等の介護予防支援は、地域包括支援センターにより行われるが、センターはその一部を指定居宅介護支援事業者に委託することができる。しかしながら、委託された介護予防ケアプランは全体の47.7%にとどまっている。(平成28年度実績)(地域包括支援センターが行う包括的支援事業における効果的な運営に関する調査研究事業(平成29年度老人保健健康増進等事業))
■ 令和元年12月の介護保険部会意見書において「外部委託を行いやすい環境の整備を進めることが重要」とされていることも踏まえ、業務負担が大きいとされる介護予防支援におけるケアマネジメント業務について、要支援者等に対する適切なケアマネジメントを実現する観点から、どのような 対応が考えられるか。

【対応案】
■ 業務負担が大きいとされる介護予防支援におけるケアマネジメント業務について、外部委託を行いやすい環境の整備を進める観点から、地域包括支援センターが委託する個々のケアプランについて、委託時における居宅介護支援事業所との連携を評価する加算(委託連携加算【仮称】)を創設することとしてはどうか。
その際、質の高い介護予防ケアマネジメントを実現する観点から、居宅介護支援事業所と地域包括支援センターとの適切な情報連携等を求めてはどうか。
※2020年11月26日 介護給付費分科会資料より抜粋

議論のプロセスから関心を持って情報を追いかけておくことが大切

以上、代表的なサービスの、代表的な論点について確認・言及させていただきました。介護経営者としては「こうなるかもしれない」という最終的な結論だけでなく、「何故このような内容に着地する可能性が高いのか?」という、言葉の裏に潜む意図や背景を温度感も含めて理解する姿勢がますます重要となってくるものと思われます(その意味からも是非、介護給付費分科会で提示されている資料も併せてご確認下さい)。また、早め早めに情報をキャッチアップし、頭の中で“PDCA”を回しておく事も必要かと思われます。「もし上記が実行された場合、自社にはどのような影響が出てくるか?」「それら想定される影響に対し、どのような対応を行う事が最適なのか?」幹部育成の視点も含め、そのような議論を社内で始めていかれる事を是非、おススメする次第です。


私たちも今後、有益な情報を入手出来次第、どんどん情報を発信してまいります。

最後までお読みいただき、ありがとうございました! 


※このコラムの引用元資料はこちら

第194回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14888.html

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